歯ぎしり(ブラキシズム)や食いしばり(クレンチング)は、昼夜を合わせると90%近くの方がしている可能性があるという報告もあります。しかし歯ぎしりや食いしばりは日常的な癖になっていてもご自身ではなかなか自覚しにくく、ご家族などに「よく歯ぎしりしてるね」などと言われてはじめて気づくといったこともあるようです。
歯ぎしりや食いしばりは、どのような影響があり、どのように治療するのでしょう?
上下の歯を「ギリギリ」と擦り合わせるタイプで、最も良く見られる歯ぎしりです。比較的広範囲に歯が摩耗していきます。
上下の歯を強く噛み締めるタイプで、いわゆる食いしばりです。無意識に非常に強い力が歯にかかってしまいます。
上下の歯を「カチカチ」と噛んで鳴らすタイプで、わりと少ないケースになります。比較的、歯や顎への影響は少なめです。
原因は人によって違いますが、最も有力な原因が「ストレス」によるものです。強いストレスによって無意識に顎に力が入ったり、歯ぎしりすることでストレスを発散しようとしたりします。
他にも、何かに集中するあまり歯を食いしばっていたり、歯並びの悪さなどで噛み合わせが安定せず歯ぎしりしてしまっていたり、アルコールやタバコ・逆流性食道炎などの疾患の影響など、様々な原因が考えられます。
顎に強い負荷がかかるため、痛みが出たり、口を大きく開けられなくなるなど顎関節症の症状が起こることがあります。症状がひどくなると食事を摂れなくなるケースもあります。
歯が擦り減ってしまったり、あまりに強い力がかかりすぎると歯やセラミックが割れたり亀裂が入ったりすることもあります。痛みや歯のしみの原因にもなります。
歯ぎしりの負荷で歯と歯茎の隙間が広がって歯周病が悪化したり、歯槽骨に負荷がかかって最終的には歯がグラグラになったりする恐れがあります。
顎の骨に過度に力が集中して、そこにこぶ状の骨隆起ができることがあります。骨隆起自体は身体への害はありませんが、入れ歯の邪魔になったりすることがあります。
顎から首・肩にかけての筋肉が緊張し、頭が締め付けられるような頭痛が起きたり、疲労感がたまり肩こりが続いてしまうといった症状も見られます。
歯ぎしりや食いしばりを繰り返すことで、歯並びや噛み合わせに悪影響がでたり、顎の筋肉が大きく発達してエラが張ったような顔の印象になることもあります。
歯ぎしりや食いしばりの予防には、日中であれば症状が出ていないか意識してみたり、ストレスの発散を心がけてみたり、頬のあたりをマッサージしてこわばりを取るといったことも大切ですが、症状が重い場合もありますので、やはり自己判断せずに歯の治療を兼ねて歯科医院へご来院いただくことをお勧めいたします。
当院では実際に患者様のお口の中を拝見し、お掃除をした上で型どりをして、就寝時に装着して歯ぎしりの負荷を和らげるマウスピースを作製します。
通常は初回のご来院時に、お口の中の検査やレントゲン撮影・歯のクリーニングなどを行い、歯型の型どりを行います。
再びご来院いただいた際に、確認のため完成したマウスピースを実際に装着していただき、お持ち帰りいただきます。
以降は就寝時にマウスピースを装着してご就寝ください。
check_box マウスピースが代わりに削られることで、歯の擦り減りを防止する
check_box 負荷を歯列全体に分散させることで、歯や被せ物などの破損を防ぐ
check_box 歯の位置を保定する
check_box 顎関節への負担を軽くする
デメリットとしては装着時の違和感があるため、きちんと装着したまま就寝するのに慣れが必要なことがあります。また、歯ぎしりや食いしばりを根本的になくすものではないので、肩こりや頭痛が治るわけではなく、ご自身でストレス改善などに努めていただく必要があります。
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